カバー紹介によると、著者はアレゼンチンのブエノスアイレス生まれで、原著はスペイン語なんですかねえ。スペイン語→英語→日本語ではなく、どうもスペイン語からダイレクトに翻訳されているような感じがします。
ブエノスアイレスの探偵レナード・クライグの助手スグムンド・サルバトリオは、1889年5月パリで開催された万国博覧会に<十二人名探偵>の総会にクライグの名代として参加した。〈十二人の名探偵〉クラブとは世界屈指の名探偵がメンバーであり、ポーランド人、フランス人、ポルトガル人、イタリア人、ドイツ人、スペイン人、ギリシャ人、アメリカ人、日本人、オランダ人の探偵がいる。その総会では、お互いの探偵術や探偵観を開陳し議論し合うというものだった。しかしその前に、フランス人探偵が建設中のエッフェル塔から転落死してしまった。エッフェル塔の建設には反対派もおり、それに巻き込まれ、実は殺人ではないかという。その後、第2、第3の事故が起こる。連続殺人ではないかと疑う探偵どもは捜査を行うのだが……。
パリの総会でそれぞれの探偵が、自らの探偵観とどのように事件を解決していったか事例を挙げていくのですが、それがいくつもの短編というか(推理的要素はないので)ショートショートが並べられているのが楽しい。また、世紀末の雰囲気がきちんと醸し出されているのも嬉しい。しかし、もう少しきちんと推理的段階をふんで欲しかったかなというところで☆☆☆です。
- 作者: パブロ・デサンティス,Pablo De Santis,宮崎真紀
- 出版社/メーカー: 早川書房
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以下は原著カバー。
El Enigma De Paris/ the Enigma of Paris
- 作者: Pablo De Santis
- 出版社/メーカー: Planeta Pub Corp
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: ペーパーバック
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