今年度の江戸川乱歩賞受賞作。23歳の新人であるということ,選評で最終選考作5作すべてが特殊設定ミステリであり,その中で満場一致だったということ,また乱歩賞だから長さに制限があり読むのに長時間かからないだろうということで,手に取りました。
あと2カ月で惑星が日本に落ちて消滅することが分かっている世界が舞台の終末期もので,今までも結構あるSFミステリ。そのような事態になったとき人はどのような行動を起こすのかがテーマですが,本作は逃げることを諦め週末を迎えることにしている人々が残されている中で,連続殺人事件が起こります。
何と言ったらよいか,小説としてのトーンがきちんとしているので,非常に読みやすい。アニメっぽくもあります。流して読んでしまったのですが,犯人はわからず,まんまとしてやられました。タネもわかってしまえば,わからなかったほうが悪いというもので,よかったです。☆☆☆★といったところです。