ミステリを読む 専門書を語るブログ

「ほしいつ」です。専門書ときどき一般書の編集者で年間4~6冊出版しています。しかしここは海外ミステリが中心のブログです。

『ポピーのためにできること』ジャニス・ハレット,山田 蘭訳,集英社文庫,2022

 イギリスの劇作家,脚本家のデビュー作。アマゾンによると「サンデー・タイムズ紙が選ぶ、2021年ベスト・ミステリー!」に選ばれたとのこと。

 本文がイギリスの田舎の劇団とその関係者のメールのみで語られるミステリ。昔でいえば本文が手紙のみのようなもの。

 主にメールだから,ストーリーに関わらない内容も多く語られ,まあそこが魅力にもなっているし,作者にとっては読者に対する目くらましになっているのだけれど,本作が長くなっている理由になっている。

 事件そのものが,かなり後半になって生じるのが驚きだけど,語り口が飽きさせないため,苦もなく読み進められる。

 しかし,このようなミステリは,できれば短編にしてほしい。どのような人間関係なのか,どのような事柄が起こっているか,誰が嘘をついているかなど類推しながら読むのだけど,あまりにも長すぎて,中途から読み飛ばしてしまった。というわけで,☆☆☆★というところです。

 それにしても,本当に友人にあのような長いメールを書くのだろうか。しかも事実そのものよりも思ったことや類推が多いのが不思議だ。