アガサ・クリスティの第13作目の作品。比較的初期で、前後は『邪悪の家』と『オリエント急行の殺人』で調子がよいときといえるかもしれない。もっともクリスティの場合、スランプというのはなかったようだけど。
クリスティは私にとって、初めて感動した謎解きミステリ作家で、ほとんど読んでるはずだけど、あまりにも昔過ぎてマイナーなものは覚えていない。本書もその一つ。たぶん初読だと思う。いまWikipediaを検索したら、詳細なストーリーと謎解きが書かれていて驚いた。といっても、やはり実際に読まなければ、本作の魅力は味わえないだろう。そんな作品である。
ポワロはある女優に夫のエッジウェア卿に離婚を承諾してもらうよう依頼される、という変な話から始まる。ポワロはエッジウェア卿に会うと離婚に反対していたはずのエッジウェア卿はすぐに承諾した。その翌日、エッジウェア卿が首を刺されて殺された。そして、第2、第3の殺人が起こる。
少ないキャラクターにもかかわらず、3名も殺されてもなお犯人はわかりませんでした。古典的なトリックと小ネタがいくつも絡み合っており、☆☆☆★というところです。何と言ったらよいか、真相を語られても、そんなことが可能なのかと思ってしまう。ラストの「犯人自身の手を出版されたことはない」という記述が時代を象徴してよいですね。