hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

『熔ける―大王製紙前会長 井川意高の懺悔録』井川 意高、双葉社、2013

『企業不祥事の研究―経営者の視点から不祥事を見る』を読んでいて、そういえば、大王製紙事件の本を購入したまま読んでいなかった、と思い出して本棚から取り出した本です。とんでも系の書評で評判が良かった告白本ですね。 まあ、様々な意味で面白い。わた…

『企業不祥事の研究―経営者の視点から不祥事を見る』井上泉,文眞堂,2015

11の事例研究を通して、企業不祥事とは何か、どのようにして防ぐのかを示した研究論文をまとめたもの。企業不祥事について大まかに知っておきたくて手に取りました。読み物ではなく、論文をもとにしているので、読みづらいのは承知のうえで読み飛ばしました…

『職場がヤバい! 不正に走る普通の人たち』前田康二郎,日本経済新聞出版社,2016

新聞の書評で取り上げられていて購入。作者はフリーランスの経理をしている人で、会社の不正といっても、横領などお金にかかわることが多いようです。 会社や周囲への仕返しのために不正に走る人がいる、不正は見つけるものではなく違和感として感じるもの、…

『フリーで働く! と決めたら読む本』中山マコト,日本経済新聞出版社,2012/『フリーで働く前に! 読む本』中山マコト,日本経済新聞出版社,2013――フリーで働くをテーマにした書籍はまだまだニーズがあるのではないか?

本書を手に取ったのは、漠然とフリーランス編集者になりたいと思っているけれど、フリーになったとしても仕事の依頼が来るという自信がなかったためです。技術・知識的にはニッチなものをもっているのですが、その需要とマーケットは小さいので厳しいのは見…

『ヴェネツィアで消えた男』パトリシア・ハイスミス,富永和子訳,扶桑社ミステリー,1967,1997――先読みがことごとく外される

ハイスミスの長編22作中の11作目の作品。この前作が『殺人者の烙印』、この後作が『変身の恐怖』でハイスミスが絶好調だった頃。といっても、リストを見ても不調だった頃ってないよね。本作もとても1960年代とは思えない現代サスペンスミステリ。先が読めな…

『読者ハ読ムナ(笑)―いかにして藤田和日郎の新人アシスタントは漫画家になったか』藤田和日郎,飯田一史,小学館,2016――むしろ編集者が勉強になるガイドブック

藤田氏と藤田氏の初代編集者の武者氏による漫画家を目指すアシスタントへのアドバイスをまとめたもの。 新人賞を受賞した新人漫画家が編集者の紹介で藤田氏のアシスタントになったという設定で、藤田氏は若い漫画家が不足しがちであることをどのように吸収し…

『日本語の作文技術』本多勝一,朝日文庫,1982

昔、読んだものを改めて読んでみて勉強になりました。読みやすい文章はどういうものか、正しく内容を伝えるにはどのようにしたらよいか、が具体的に書かれています。文章を書く人のとっても、編集者にとっても、気を引き締めなくてはならないことが書かれて…

『完全版水木しげる伝』水木しげる,講談社漫画文庫,2001,2005

水木しげる先生の自伝。上巻が戦前編、中巻が戦中編、下巻が戦後編となっています。いままで水木先生が描かれたものの寄せ集め的な感じがしますが、こういう一冊にまとまっているのは良いことだなと思います。戦前の境港の様子であるとか、戦争のことである…

『笑う男』ヘニング・マンケル,柳沢由実子訳,創元推理文庫,1994,2005ーー面白さが高村薫の初期の合田シリーズと似ている

非常に面白い小説でした。久しぶりです。ネットを中途でやめて続きが気になって読んでしまうなんて。20年以上前の小説とは思えません。とにかくキャラの描写のレベルが高く、コナリーと比べても素晴らしいのですよ。主人公の父とのコミュニケーションや警察…

『悪意とこだわりの演出術』藤井健太郎,双葉社,2016ーーTBSのヒットバラエティ番組を手掛ける若きディレクターの演出論

TBSのヒットバラエティ番組を手掛けるディレクターの自らの仕事を振り返るエッセイ集。どのような方法論で「水曜日のダウンタウン」などが制作されているかが語られています。 藤井氏の手掛ける番組は、本書のタイトル通り、「悪意」を「面白さ」としてとら…

『消えたい―虐待された人の生き方から知る心の幸せ』高橋和巳,筑摩書房,2014ーー被虐待児のうつの援助の必要性

被虐待児には、受けたもの特有のうつをもつ者がいる。そんな被虐待児の心理的特徴を記した本ですが、はっきりした被虐だけではなく、虐待ともいえない親からの小さな否定的な行為を受けた子どもたちまでも通じる内容となっています。 例として、発達障害児と…

『刑事くずれ』タッカー・コウ,村上博基訳,ハヤカワミステリ1181,1966,1972ーー日本人的なハードボイルドミステリだけど

D・E・ウェストレイクの別名義で書かれた元刑事のハードボイルドミステリ。あらすじだけ見ますと、仕事でしくじった刑事が良心の呵責を追って塀づくりの仕事をして自らを罰するように暮らしているところへ、その元刑事のキャリアを知った者がトラブルを解決…

『人生がときめく片づけの魔法』近藤麻理恵,サンマーク出版,2010ーーミニマリズムへの橋渡し

①私は片付けができないので、どのようにしたらよいのか、②なぜ本書がベストセラーになったか、の2つの興味で今更ながら手に取りました。 まず、驚いたのが、片付けの本にもかかわらず、図や写真がまったくなく、文字しかないこと。これでどうしたベストセラ…

『キングを探せ』法月綸太郎,講談社文庫,2011,2015

本書はランキングなどで評価を受けた謎解きミステリですが、どうも私には乗ることができませんでした。 こういっては読者として敗北なんですけど、殺人というものは、ほとんどの人にとって初めてで、その初めてのことを本書のようにやり遂げるのこと、また失…

『悲しみのイレーヌ』ピエール・ルメートル,橘明美訳,文春文庫,2006,2015――いかにもなミステリオタクのデビュー作

『その女アレックス』で評判を得たルメートルのデビュー作。『死のドレスを花婿に』が破たんしていたので、もうルメートルは読まなくてよいかなと思っていたら、その後に翻訳されいる作品の評判が良いことから、とりあえず順番に進めるということで手に取り…

『ぼくらの仮説が世界をつくる』佐渡島庸平,ダイヤモンド社,2015ーー出版業界の未来と新しい編集者の役割

作者は『モーニング』で『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などを担当した編集者で、その彼の編集者論。今の時代には編集者の役割がプロデューサーになったと高らかに宣言しています。その考えはとくに新しいものではありませんが、なかなかできないものです。 書籍…

『メグレと無愛想(マルグラシウ)な刑事』ジョルジュ・シムノン,新庄嘉章訳,ハヤカワ・ミステリ 370,1957,1984

メグレ警部シリーズの「メグレと不愛想な刑事」「児童聖歌隊員の証言」「世界一ねばった客」「誰も哀れな男を殺しはしない」の4つの短編が収録されている短編集。短くて読みやすい。派手なトリックはないものの、ちょっとした意外性はあります。しかし、事件…

『黒い迷宮ールーシー・ブラックマン事件15年目の真実』リチャード・ロイド・パリー,濱野大道訳,早川書房,2011,2015――一種の怒りと恐怖を抱くことができる傑作

ホステスのイギリスの若い女性を監禁・殺人を行った事件を追ったノンフィクション。ものすごくリーダビリティが高く、描写が理性的で偏ることがなく、一種の怒りと恐怖を抱くことができる傑作。 ニュースなどで犯人が報道されたが、詳しい説明はなく、どのよ…

『七つの会議』池井戸潤,集英社文庫,集英社,2012,2016ーーサラリーマンのジレンマを会議で示す

池井戸氏の中堅メーカー企業を舞台にしたクライムノベル。でも読んだ後でないとクライムノベルとわからない。最初にソフトカバーで出版されて、書店にたくさん並んでいたとき、タイトルが「会議」だし、半澤直樹シリーズがテレビで視聴率をとっていたから、…

『伝える力』池上彰,PHPビジネス新書,2007ーー130刷を超えるベストセラー

100万部を超えたベストセラーということで購入しました。基本的に勉強になりましたが、ちょっとあっさりし過ぎかな。面白かったのは、目次に「章レベル」があり、そのあとに13.(1)映画や連載記事に学”つかみ方”などと表記されて、それぞれ通しナンバーがつ…

『その雪と血を』 ジョー・ネスボ,鈴木恵訳,ハヤカワ・ミステリ 1912,2015,2016

昨年に翻訳されて書評で評判が良かった作品。巻末の作品リストによると、この作者は17作品出版しており、そのなかで6作品が翻訳されているのですが、主に集英社文庫だったためか、私は知りませんでした。書評などを読んでも、ピンと引っ掛かるものがなかった…

『佐藤可士和の超整理術』佐藤可士和 ,日経ビジネス人文庫,2007,2011

どうにもこうにも整理ができなくて、私のデスクは非常に物がごちゃごちゃしていて、少し時間が経ってしまうと、物を探すのに時間がかかってしまう。自分なりに整理していたのですが、なかなかできない。 そこで自分が考えたのが、すべてをスキャンして、デー…

『ぬきさしならない依頼』ロバート・クレイス,高橋恭美子訳,扶桑社ミステリー,1993,1996

ロスの探偵エルヴィス・コール・シリーズの第4作目の作品。ロバート・B・パーカーの強い影響を受けた、1980年代かと思わせるハードボイルド小説。 自分の恋人の刑事がイライラして怒りっぽくなっているので、その原因を調べてほしいという女性の依頼人がエル…

『「ない仕事」の作り方』みうらじゅん,文藝春秋,2015

みうらじゅん氏の今まで自分でやってきたことをまとめるビジネス書。まえがきで「本書が皆さんの仕事の役に立つことを願っています」と書かれていますが、そのとおりの内容となっています。 どんな仕事であれ、「やりたいこと」と「やらねばならぬこと」の間…

こんな企画が欲しい――『このミステリーがすごい! 2017年版』『このミステリーがすごい!』編集部,宝島社,2016

今年は視力の都合や仕事で忙しく、であまり本を読めなかったので、ランキングに入っているものは一冊もなし。 しかし、このようなランキングをみると、書評って仕事とはいえ、新刊をきちんと読んでいる人って凄い。僕なんて、時間の無駄と思える小説は一切読…

ブックオフは専門書を増やしてほしい

workingnews.blog117.fc2.com このスレが面白かった。ブックオフはこのところ売り上げが落ちてきていると聞くと、そういえば私もブックオフに行ったものの本を購入することが少なくなりました。ようするに、ほしい本がないんですね。 私は、ブックオフではマ…

『生か、死か』マイケル・ロボサム,越前敏弥訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2014,2016 ☆☆☆☆

作者はオーストラリアのベテラン作家で自国ではこれまで賞を受賞し、本作で英国推理作家協会賞ゴールド・ダカー賞、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞最終候補となったそうです。 主人公は現金輸送車襲撃事件の犯人として逮捕された男、オーディ・パーマ…

『2』野崎まど、メディアワークス文庫、2012――ロジカルな壮大なホラ話 ☆☆☆☆☆

本書は何の予備知識もなく読み始めたのですが、野崎まど氏のとりあえず第1期の最後といえる作品でした。傑作です。今までの野崎氏の作品を伏線として、次第に、そしてたたみかけるように、ある壮大なホラ話となっていく様は、快楽としかいいようがありません…

『スリップに気をつけて』 A・A・フェア,宇野利泰訳,ハヤカワ・ミステリ 426,1957,1958――脅迫者を捜すラム

バーサ・クール&ドナルド・ラム・シリーズ全29作中、17番目の作品。 パーティで酔っ払った男が、若い女と一緒にホテルに行って、その女との情事がばれたくなければ金を払え、という脅迫の手紙が届いたので、どうにかしてほしいという依頼があった。その脅迫…

『沈黙の町で』奥田英朗,朝日文庫,2013,2016――中学時代は自由のないきつい世界 ☆☆☆☆

久しぶりの奥田英朗氏の作品。本作は新聞連載時から評判を知っていて、いつか読もうと思っている内に時間が経ってしまいました。奥田氏の作品は、ギャグも良いけれど、犯罪小説系でしたら読みたいと思うので、本作のような構成・タッチで、エルロイのような…