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hoshi-itsu’s 本にまつわるblog

「ほしいつ」です。海外ミステリが中心のブログです。下書きがなくなってしまったのが悲しい……。

『裏切りの明日―結城昌治コレクション』結城昌治、光文社文庫、1975、2008――時代を超えられず

さまざまなミステリを書いた結城昌治氏の初期~中期の作品。解説によると1965年発行で50年経っています。 主人公は独身の31歳の沢井という刑事です。沢井は普段は真面目な刑事で、かつ、仕事のこと、女のこと、金のことなど、さまざまな闇を抱えています。あ…

『 パーフェクトフレンド』野崎まど、メディアワークス文庫、2011

野崎まど氏の(おそらく)5作目の作品。野崎氏の架空の設定の中でアクロバットな論理展開の後にリドルミステリに落ちつくという特徴があります。さらに、とぼけた感のある非常に特徴的なキャラクターとギャグが備えてあり、決して重くはならない作風です。ち…

『100の思考実験: あなたはどこまで考えられるか』ジュリアン・バジーニ,向井和美訳、紀伊國屋書店、2005、2012

書籍の企画のネタになるかもしれないと思って手に取った本。「誰も損をしなければ何をしてもよいか?」「不平等が許される場合とは?」など哲学・倫理学の100のテーマについて、具体的な小話と解説が記されています。さらっと読んだだけですので、役に立つか…

『ハードボイルド徹底考証読本』小鷹信光、逢坂剛、七つ森書館、2013

先頃亡くなられた小鷹氏と作家の逢坂氏のハードボイルド小説と映画についての対談本です。映画のところはすっ飛ばして、小説のところだけ読みました。このお二人ですからハメットの話ばかりでした。 翻訳作法のところが面白かったですね。エルモア・レナード…

『声』アーナルデュル・インドリダソン, 柳沢由実子訳,東京創元社,2002,2015――ある男とその家族の悲劇  

インドリダソンの翻訳3作目の作品。これまでの中でもっとも素晴らしい作品でした。これが、2002年の作品か、なぜもっと早く翻訳されなかったのだという思いでいっぱいです。雰囲気は、メグレ警部シリーズに近く、それをもっとわかりやすく説明を加えたものと…

『クリィミーマミはなぜステッキで変身するのか?』布川郁司,日経BP社、2013

最近、アニメがどのように作られているか、ビジネスとして展開されているか、強く興味をもつようになりました。どうしてこのようなアニメの企画が通ったのか、何を収益の柱にしているのか、不思議なものが多くあるんですね。 本書はそのようなコンテンツビジ…

『もう年はとれない』ダニエル・フリードマン, 野口百合子訳, 創元推理文庫, 2012, 2014――ナチもののコミック・ミステリ

一昨年、翻訳ミステリでなかなかの評価を受けた、87歳の元敏腕刑事の老人が主人公のハードボイルド・ミステリ。というよりも、ナチもののコミック・ミステリでした。 元殺人課刑事のバック・シャッツは親友から臨終のときに、二人だけで昔の千艘の話としたい…

『ミステリマガジン700 【海外篇】』杉江松恋編、ハヤカワ・ミステリ文庫、2014 ――短編集をもっと発行してほしい

海外ミステリの短編集。まさに企画の勝利というか、今まで早川書房はこれだけの資産をどうして遊ばせていたのか、と思います。 収録された作家は、フレドリック・ブラウン、パトリシア・ハイスミス、クリスチアナ・ブランド、ルース・レンデル、ジャック・フ…

ミステリランキング2015

ここ数年、本当に読書量が落ちてきました。今年は昨年に引き続き、仕事が多忙だったことが大きいですね。本日も家で原稿を読んでいましたし……。 話がずれますが、会社の人員整理などで、人が少なくなってしまい、かといって会社全体の売り上げを下げるという…

『今夜、珈琲を淹れて漫画を読む:「漫画の時間」2時間目』いしかわじゅん、小学館クリエイティブ、2015

『週刊文春』などの連載をまとめたマンガエッセイ。面白いけど、一つ一つが見開きで物足りないので、もうちょっと力を入れたものが読めたらよいなあ。でも、マンガなんて重苦しくなく、このくらいで語られる方がよいのか。 それにしても、いしかわ氏は、未だ…

『出口のない農場』サイモン・ベケット, 坂本あおい訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2014,2015

この著者の好評を得ている「法人類学者デイヴィッド・ハンター・シリーズ」は知りませんでした。本書は、そんな著者のノンシリーズで、サスペンスミステリ。 冒頭からイギリス人の若者のショーンがフランスで何者からか逃亡するところから始まります。森に逃…

『髑髏の檻』ジャック・カーリイ, 三角和代訳,文春文庫,2010、2015

前作までの私のカーリイ作品の評価、解説の千街氏の本作の評価の少なさ、各書評からいって、本作はあまり面白くないのかもと今回はスルーするかと判断していたのですが、たまたま書店で見かけてしまって、他にあまり食指が動く作品もなかったので、手に取っ…

『闇に香る嘘』下村敦史,講談社,2014

江戸川乱歩賞受賞作。えらく評判がよかったようなので手に取りました。江戸川乱歩賞は執筆文字量の上限が少なく決められているにもかかわらず、キレイなどんでん返しを強要されるためか、受賞には作者に「技」をもつことが必要とされます。本書もそのとおり…

最近購入したマンガ

仕事が忙しいせいか、年をとったせいか、なかなか新しい才能を読むことができなくなりました。以下はどうにか購入しているマンガ。■『げんしけん 二代目の九(18)』木尾士目,アフタヌーンKC,2015 本日Amazonから届きました。これも長くなったものです。げん…

『魔術師(イリュージョニスト)』ジェフリー・ディーヴァー, 池田真紀子訳,文春文庫,2003,2008

ディーヴァーは苦手だ。面白いことは面白いのだけれど、どうも、その面白さを十全に味わえていないというか、自分の中で上滑りしている感じがする。キャラクターのせいだろうか? どうしても主人公のライムに魅力を感じない。サブキャラクターも同じだ。それ…

『「週刊SPA!」黄金伝説1988〜1995――おたくの時代を作った男』ツルシカズヒコ,朝日新聞出版,2010

『SPA!』三代目編集長の手記で拾いもの。私は編集者の記録を読もうと集めているのですが、本書は興味をもっていませんでした。ところが実際に手に取ったとき、著者が『月刊OUT』の編集から始めているのをみて、興味をもちました。 あの時代の空気が確実に感…

『小説家の作り方』野崎まど,メディアワークス文庫,2011

野崎まど氏の(たぶん)4作目の作品。タイトルからは小説の書き方物語のような印象を受けるけど、まったくいつもの野崎氏の作品。主人公は新人作家で、多分に野崎氏自身を思わせる若い男性。「この世で一番面白い小説」を書きたいと思っている。その彼にファ…

『死なない生徒殺人事件―識別組子とさまよえる不死』野崎まど,メディアワークス文庫,2010

野崎まど氏の第3作目の作品。なんと言ったらよいか難しいが、『アムリタ』同様に、思考論理のみで展開する哲学的なミステリでした。突飛な哲学書や科学書はしばしばSF的な結論に行き着いてしまうときがあるけれど、それを小説にしたらこうなるという感じだろ…

『死への祈り』ローレンス・ブロック, 田口俊樹,二見文庫,2001,2006

マット・スカダー・シリーズ第15作めの作品。免許をもたない私立探偵という設定がそうさせるのか、他の私立探偵小説にはみられない独特の雰囲気をもつシリーズ。初期でシリーズを中止してしまった人も、このページターナーぶり、余韻の残るキャラクター描写…

『まんが医学の歴史』茨木保,医学書院,2008

作者は産婦人科医でクリニックの院長をしているマンガ家。医学書の世界では有名な方で、ある執筆者から茨木先生に挿絵を描いていただきたいとご指名されたことがあります。というのは、ある医学雑誌で四コママンガを連載していて、それがとてもリアルで面白…

『空飛ぶタイヤ』池井戸潤,講談社文庫,2006,2009

池井戸氏の「2002年に発生した三菱自動車工業(三菱ふそうトラック・バス)製大型トラックの脱輪による死傷事故、三菱自動車によるリコール隠しなどを物語の下敷きとしている」(ウィキペディアより)フィクションで、テレビドラマ化はテーマがテーマだけに広…

『書くことについて』スティーヴン・キング, 田村義進訳,小学館文庫,2000,2013

キングによる小説講座。「履歴書」では、子供の頃から『クージョ』までの書くことの変遷を記したもの。例えばハイスクール時代の新聞記者など。「書くこととは――」「書くことについて」「後書き 生きることについて」など、役に立つのか、役に立たないのか、…

『ナイチンゲールの屍衣』P・D・ジェイムズ, 隅田たけ子訳,ハヤカワ・ミステリ1246,1971,1975

P・D・ジェイムズ第4作目の作品で、CWA賞(英国推理作家協会)シルバーダガー賞受賞作。ジェイムズの代表作の一つとされています。ジェイムズはなかなか読み取れず退屈になってしまうのですが、ジェイムズの評判を見ると、何故か手に取りたくなってしまうの…

「特集 古代最強の豪族蘇我氏」『歴史読本 2014年 10月号』KADOKAWA/中経出版,2014

特集に惹かれて購入したもの。私は特に歴史好きではないのですが、蘇我氏については、描く人によってキャラも評価も異なるので不思議だったのですよねえ。それだけ資料が残されていないんでしょうねえ。論考を読んでも、資料を集めて読んで類推している感じ…

『ありふれた祈り』ウィリアム・ケント・クルーガー, 宇佐川晶子訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ1890,2013,2014

高評価の書評を読んで興味をもったもの。この作家は7作もハードボイルドミステリが翻訳されているのにもかかわらず、全く知らなかった。私の興味レーダーにひっかからなかったのは、比較されているのがポロックだったからだろう。まあ、本作を読んでからは、…

「発表!新書大賞2015」『中央公論』2015年 03 月号,中央公論新社,2015

内容は以下の通り。新書はたまに傑作が出るからチェック用として読む。専門分化している学問の入門書こそが新書の役割だと思うのですが、そういうのはこのようなランキングには入らないんでしょうね。 昨年の一位が『里山資本主義』で今年が『地方消滅』とい…

『死のドレスを花婿に』ピエール・ルメートル, 吉田恒雄訳,文春文庫,2009,2015――次作で作者の本当の力量がわかる

『その女アレックス』の作者の第2作目の作品。1作目ではなく2作目が出版されたのは、解説によると、本書がすでに柏書房より出版されていたことから、それを文春が版権購入したもので、翻訳をそのままかチェックした上で文庫化したもののようです。私は『その…

『コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと』川上量生,NHK出版新書458,2015

ネット上の複数の書評による評判を読んで、私が昔から考えていたことに似ているのではないかと思って、池袋ジュンク堂書店の新刊コーナーで購入しました。 面白いミステリ小説と面白くないミステリ小説、面白いアニメと面白くないアニメなどは、どのような違…

ルース・レンデルの翻訳ラッシュの時代があった

英国ミステリー界の女王 R・レンデルさん死去 英PA通信によると英ミステリー作家のルース・レンデルさんが2日、ロンドンで死去、85歳。死因は不明だが、1月に深刻な発作を起こし入院していた。 英国ミステリー界の女王と呼ばれ、ウェクスフォード警部…

『荒木飛呂彦の漫画術』荒木飛呂彦,集英社新書,2015

『ジョジョの奇妙な冒険』の作者による漫画の描き方のマニュアル本。本書では、その内容を『「王道漫画」を描くための「黄金の道」を示しているのですが、荒木氏の作風から鑑みるに、少し違和感をもちました。荒木氏が黄金の道が大切だと繰り返し述べている…

『その女アレックス』ピエール・ルメートル, 橘明美訳,文春文庫,2011,2014,☆☆☆☆★

イギリスのインターナショナル・ダガー賞(2013年)、『このミステリーがすごい!2015』海外部門第1位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外部門第1位、「ミステリが読みたい!」海外編第1位など絶賛をされたフランスミステリ。新刊にもかかわらずブックオフで…

『あもくん』諸星大二郎,幽COMICS,KADOKAWA/角川書店,2015――現代の夕暮れ怪談

10歳ぐらいの「守君=あもくん」とその父親を中心にしたショートショートホラー集。ホラーというよりも、現代版の怪談ですね。諸星氏らしい短編群です。 例えば、キャンプ場でその側にある「コトロの森」に、あもくんを背に背負って散歩に出かけた父親(名前…

『カインの娘たち』コリン・デクスター, 大庭忠男訳,ハヤカワポケットミステリ,1994,1995,☆☆☆――海外では珍しいアリバイ崩し

本書を100頁ぐらいまで読み進めたところで、前作の『森を抜ける道』を読み飛ばしてしまったことに気づく。本書はモース警部シリーズ全12作中第10作目の作品。 モースは、他の者が担当していた殺人事件――67歳の古代歴史家のフェリックス・マクルーア博士がフ…

『逮捕されるまで――空白の2年7カ月の記録』市橋達也,幻冬舎,2011

どうやったらこの日本で2年以上警察から逃げることができたのか、また逃げているときの心情はどうだったのか、に興味をもって、ブックオフ100円コーナーで購入。例えば、なるべくカメラに写らないようにコンビニの前を通って逃げなかったことなど、なかなか…

『刑事さん、さようなら』樋口有介,中公文庫,2011,2013,☆☆☆★――タイトルが怖い

樋口氏の第65回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)候補作。タイトルがちょっと変で気になっていましたが、読後になると、後で内容を反芻できる、なかなかよいタイトルだということがわかります。おまけにカバーイラストも同じ効果を与えている、…

『雑談力が上がる話し方―30秒でうちとける会話のルール』齋藤孝,ダイヤモンド社,2010

自分がコミュ障なので少し役に立てばいいなあと思ったこと、発行から少し時を過ぎてベストセラーになった理由を知りたかったことから手に取りました。 ベストセラーになった理由としては、うまく時代とマッチしたことでしょうか。斉藤先生としては、たくさん…

『髑髏城』ディクスン・カー, 宇野利泰訳,創元推理文庫,1931,1959――二つの城,二人の探偵,二つの死体の謎

カーの第3作目の作品。パリの名探偵バンコランを主人公にした作品で、バンコランが若年であるためか、カー独特のアクが少なくて読みやすい作品。しかも道具立てがわかりやすすぎて、江戸川乱歩や横溝正史にもろな影響を与えたようにも見えます。 ベルギーの…

『弱いつながり―検索ワードを探す旅』東浩紀,幻冬舎,2014

ネットは結局自分の興味のあるところだけを見るようになるため、視界が広がったようにみえて、実は狭くなっているといいます。それに対抗するには、観光する者として、自分の肉体をもっていくことが有用である。確かに一理あるかなと思います。しかし、それ…

『サンドリーヌ裁判』トマス・H・クック, 村松潔訳,ハヤカワ・ポケット・ミステリ,2013,2015,☆☆☆★

クックの最新刊。大学教授の妻が薬による自殺で発見された。しかし発見した大学教授の対応が不自然だったことから、検察は殺人と判断し、大学教授を訴える。本書は、その裁判の1日目から始まる。検察側は、大学教授が遺体発見時に落ち着いていたこと、遺書で…

サラリーマンの夢――『神様からひと言』荻原浩,光文社文庫,2002,2005

荻原氏の作品は、『ハードボイルド・エッグ』『サニーサイドエッグ』が既読でそれぞれ面白かったのですが、何故か他の作品を手に取ることがなく、スルーしてきました。本書は、サラリーマンマンガは多くありますが(あれ、最近は少なくなっている? 具体例が…

尋常ではないキャラ立ち――『ロスジェネの逆襲』池井戸潤,ダイヤモンド社,2012

正しくはミステリではなくエンタメです。前作の続きで、主人公の半沢直樹が証券会社に出向されたところから始まります。面白いです。一つひとつの台詞がテレビドラマと同じ配役、リズムで脳内で再生されました。 しかし、この人たちは本業をほっぽり出して(…

万歩書店ふたたび――「特集 夢の楽園「万歩書店」で遊ぼう!」『本の雑誌 382号』本の雑誌編集部,本の雑誌社,2015

なんといっても特集の『夢の楽園「万歩書店」で遊ぼう!』ですよね。万歩書店には2007年9月にレンタカーで全部の店舗を回り、あまりのものすごさに酔ってしまいました。それから2回ほど本店に行ってます。仕事で岡山に出張したとき、夜しか時間がもてず、レ…

C級のA級私立探偵物語――『ララバイ・タウン』ロバート・クレイス, 高橋恭美子訳、扶桑社ミステリー,1992,1994,☆☆☆

ロバート・クレイスは処女作の『モンキーズ・レインコート』が翻訳されたとき読んでいたのですが、ストーリーがよく理解できなくて、それも何度も遡ったにかかわらず、これは自分と相性が悪い作家に分類して、手に取らない作家に認定していました。 今回手に…

『私がデビューしたころ ―ミステリ作家51人の始まり』東京創元社編集部編,東京創元社,2014

ミステリ雑誌に連載されたタイトル通りのテーマのエッセイをまとめたもの。作家になるプロセスがさまざまであることがわかります。そのなかで新人賞などのコンテストやベストランキングには向いていない作風だけれども、出版されてしまえば、ある程度のコン…

『通訳日記―ザックジャパン1397日の記録』矢野大輔,文藝春秋,2014

ブラジルW杯の日本代表監督のザッケローニ氏の通訳をしていた矢野氏の日記をまとめたもの。就任から解散までが書かれています。ザックにおける日本代表の評価を知るものであり、それはマスコミで発表したものと変わりません。ザック氏は本当に正直だったのだ…

評価が分かれるのが理解できる――『罪の段階』リチャード・ノース・パタースン, 東江一紀訳,新潮文庫,1992,1998,☆☆☆★

『推定無罪』『法律事務所』が翻訳されたとき、リーガル・サスペンス・ミステリが流行って、多くの作品が翻訳されましたが、本書はその中の一つでした。翻訳時期が各種ベストテン企画の投票時期に都合がよくなかったため、各書評では評判がよかったにもかか…

まさかの法廷物の名作――『試行錯誤』アントニイ・バークリー, 鮎川信夫訳,創元推理文庫,1937,1994,☆☆☆☆★

本書はイギリス黄金期の作家の1人であるバークリーの代表作といわれています。私は本書が分厚いため、購入したまま、ずっと積ん読のままだったのですが、まあひと月ぐらいかかっても良いから、毎日少しずつ読み進めようと、何の予備知識もなく手に取りました…

爆笑するショートショート群――『独創短編シリーズ 野粼まど劇場』野崎まど, 電撃文庫,2012,☆☆☆☆

24の短編+ショートショートですが、落ちを重点的にしているわけではなく、設定と展開の奇妙さが面白いものとなっています。例えるならば、筒井康隆氏の短編でしょうか。現代の新しい文章や活字による笑いの方法の一つがここにある、と断言してもよいでしょう…

『三つ目がとおる』に似ているのが嬉しい――『舞面真面とお面の女』野崎まど,メディアワークス文庫,2010,☆☆☆

『[映]アムリタ』でデビューした野崎まど氏の第2作目の作品。新本格系のミステリで、フェアプレイを重要視してません。工学部の大学院生の男が、祖父が病床で死ぬ直前に記した遺言らしき文言の意味を解いてほしいと、叔父から依頼を受けた。その文言は「箱を…

天才を描く――『[映]アムリタ』野崎まど, メディアワークス文庫,2009,☆☆☆★

最近、派手ではないものの話題となるライトノベルを次々に発表し、SFでも評価を受けている野崎氏のデビュー作。私は、『本の雑誌』の若島先生の評価で気になりました。なんとなく自分の感性に合っている作家ではないかと。 本書は、天才監督の創る映画そのも…